インプラントのメリット・デメリットとは?失敗例や将来のリスクまで徹底解説!

インプラントのメリット・デメリットについて徹底解説

歯を失ったとき、多くの方が選択肢として検討するインプラント治療。
「本当に安全なのか?」「費用やリスクは?」「将来後悔しない?」——こうした不安を抱えるのは当然です。

本記事では、インプラントのメリットとデメリットを解説し、治療費や期間、考えられるリスクやトラブル事例まで詳しく紹介します。さらに、どんな人にとって注意が必要なのか、トラブルを防ぐためのセルフケアと医院選びのポイントも解説します。

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監修者

医療法人社団 明敬会

滝澤 聡明 | Toshiaki Takizawa

1968年生まれ、東京都出身。93年、神奈川歯科大学卒業後、国際デンタルアカデミー入校。国際デンタルクリニック勤務の後、96年にタキザワ歯科クリニック開業。98年、日本大学歯学部生理学教室に入室し、2004年に博士号取得。同年、医療法人社団明敬会を設立し、理事長に就任。2006年湘南藤沢歯科開設。2019年東京日本橋デンタルクリニック開設。

この記事で分かること

・インプラントのメリットとデメリット
・インプラント治療で起こりうるトラブルとリスク
・トラブルを回避するためのポイント

目次

インプラントとは?

インプラント治療の基本

インプラントは失った歯の機能と見た目を回復する治療で、人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着します。チタンやジルコニア製のインプラントが骨と結合(オッセオインテグレーション)し、天然歯に近い安定性と咬む力を再現します。隣の歯を削る必要がなく、審美性・咀嚼能力に優れるのが特徴です。

どんな人が検討する治療なのか

インプラントは単独の歯がない方から総入れ歯の方まで幅広く適応されます。特に、

  • 入れ歯の違和感や噛みにくさに悩む方
  • 健康な歯を削りたくない方
  • 見た目と機能の両立を求める方

 に適しています。骨造成グラフトレスインプラントなどの技術により、骨が少ない方でも治療可能なケースが増えています。

インプラントのメリット

インプラントは、歯を失った際に選ばれる補綴治療の中でも、機能面・審美面・快適性のすべてにおいて非常に優れた選択肢です。特に近年は、技術の進歩により安全性も高まり、多くの患者様に選ばれています。ここではインプラントが持つ代表的なメリットをご説明します。

自分の歯のようにしっかり噛める

インプラントは、顎骨にチタン製のインプラント体を埋入することで、骨と直接結合(オッセオインテグレーション)します。この強固な結合により、天然歯とほぼ同等の咀嚼能力が回復します。
これにより、硬い食べ物や噛みごたえのある食品も自由に食べられ、食事の楽しみが損なわれません。また、咀嚼による顎骨への適度な刺激
が加わることで、骨吸収(顎骨の減少)を防ぎ、顔貌の変化や老化を抑制する効果も期待できます。

自然な見た目で審美性が高い

インプラントに取り付ける人工歯(上部構造)には、セラミックジルコニアなど審美性に優れた素材が使用されます。これらの素材は、天然歯に非常に近い色調や透明感を再現することが可能です。
また、隣接する歯や歯肉との調和を考慮して設計されるため、自然な笑顔を取り戻せます。金属の露出色調の不一致といった審美的な問題も最小限に抑えられる点が大きな魅力です。

※1 参考文献

PJETURSSON らは, ITIインプラント治療を受けて5年から 15年(平均 経過年数 10.2年)の患者 104人(214本)のうち, 90%以上の患者が機能的かつ審美的な観点から十分 満足している.

日本口腔インプラント学会 第19巻 4号 インプラント治療に対する患者の意識調査

ズレたり外れたりしにくい(入れ歯との違い)

入れ歯は、歯肉や粘膜の上にのせる構造のため、経年による顎骨の変化装着時の吸着力低下により、ズレ外れが生じることがあります。特に食事や会話の際に違和感不安を感じる方も少なくありません。
一方、インプラントは顎骨にしっかりと固定されるため、ズレたり外れたりする心配がほぼありません。これにより、日常生活において自然な感覚で会話や食事を楽しむことができ、精神的な安心感も得られます。

周囲の健康な歯を削らない

従来のブリッジ治療では、欠損部の両隣に位置する健康な歯を大きく削って支台歯としなければなりませんでした。しかし、インプラントは独立した支持構造を持つため、周囲の健康な歯を傷つける必要がありません
これにより、隣接歯の寿命を延ばすことができ、将来的な二次的な虫歯や歯周病のリスクも低減します。インプラントの最大のメリットは、周囲の健康な歯を犠牲にすることなく、失った歯の機能と審美性を回復できる点です。

インプラントのデメリット

インプラントは多くのメリットを持つ優れた治療法ですが、すべての患者にとって万能というわけではありません。治療を検討する際には、デメリットや注意点もしっかり理解しておくことが重要です。以下に、主なデメリットをご紹介します。

治療費が高額になる

インプラント治療は自由診療に分類され、健康保険が適用されないため、治療費が比較的高額です。1本あたりの費用は30万円〜60万円程度が一般的であり、骨造成(GBR)やサイナスリフトなど追加の外科処置が必要な場合は、さらに費用がかさむことがあります。
複数本のインプラントやフルマウス(全顎治療)になると100万円以上になるケースもあります。価格だけでなく、長期的なメンテナンス費用も考慮しておく必要があります。

手術が必要(外科的リスク)

インプラント治療には外科手術が不可欠です。局所麻酔下で行われる安全性の高い手術ですが、術後の腫れや痛み、まれに神経損傷(下歯槽神経麻痺)や出血といったリスクも存在します。
また、糖尿病骨粗しょう症などの全身疾患を持つ方は感染症リスク治癒遅延の可能性が高く、慎重な対応が求められます。患者ごとの健康状態に応じたリスク評価事前の医科連携が重要です。

術後のメンテナンスが欠かせない

インプラントは天然歯と同様に定期的なメンテナンスが必須です。特に注意すべきなのがインプラント周囲炎という歯周病に類似した炎症疾患です。適切なブラッシングやデンタルフロス・歯間ブラシの使用、そして歯科医院での定期クリーニング(プロフェッショナルケア)を怠ると、インプラントの脱落につながる恐れがあります。
天然歯よりも自己管理の重要性が高いことを理解し、ライフスタイルに合わせた継続的なケアが必要です。

将来的な再治療や追加費用も発生する可能性

インプラント体は長期耐久性がありますが、上部構造(人工歯)は10〜15年程度での交換が推奨される場合があります。また、長期使用によりネジのゆるみ人工歯の破損が発生することもあります。
骨吸収噛み合わせの変化により、追加の調整や再治療が必要となるケースも少なくありません。初期費用だけでなく、将来的なメンテナンス・交換費用についても事前に理解しておくことが大切です。

インプラントをする際の注意点とは?

インプラント治療には多くの利点がありますが、すべての患者にとって最適というわけではありません。特定の条件下では、デメリットがより強く感じられるケースがあります。自身が該当するかどうか、事前に確認することが重要です。

高齢者の場合の注意点

高齢であってもインプラント治療は可能ですが、骨密度の低下全身疾患のリスクが高まるため、慎重な評価が必要です。特に骨粗しょう症の方は骨の結合力が低下しており、骨造成が必要となるケースが多くなります。また、認知機能の低下セルフケア能力が不十分な場合、術後のメンテナンスに課題が生じる可能性があります。

糖尿病・骨粗しょう症などの持病がある人

糖尿病の患者では創傷治癒の遅延感染症リスクが高く、インプラントの成功率に影響を及ぼします。血糖値がコントロールされている場合は治療可能ですが、主治医との連携が欠かせません。骨粗しょう症やビスフォスフォネート系薬剤の使用歴がある方も、顎骨壊死のリスクを考慮する必要があります。

喫煙習慣がある人

喫煙は血流を悪化させ、骨結合の成功率を大幅に低下させます。さらに、インプラント周囲炎のリスクも増加します。治療前後の禁煙が強く推奨されますが、喫煙習慣が継続している場合は代替治療も検討されます。

※2 参考文献

喫煙は,歯周病の危険因子であることが報告されており,また同様に,インプラント治療の危険因子であることが報告されている

日本口腔インプラント学会 第27巻 2号 インプラント治療に対する意識調査

顎骨が薄い・骨量が不足しているケース

長期間の歯の欠損義歯使用によって顎骨が吸収されている場合、インプラント体を埋入するための骨量が不足していることがあります。この場合、GBR(骨誘導再生法)やサイナスリフトなどの骨造成術が必要になることが多く、費用や治療期間が増加します。また、骨造成が困難な場合は、ショートインプラントグラフトレスインプラントといった特殊な手法が検討されます。

他の治療法(ブリッジ・入れ歯)との比較

ブリッジ:比較的短期間で完了し、インプラントより費用が抑えられることが多いですが、健康な隣接歯を削る必要があり、将来的に虫歯や歯周病リスクが高まる可能性があります。

入れ歯:取り外し可能で最も安価ですが、咀嚼力や審美性に限界があり、長期使用により顎骨吸収が進行することがあります。

インプラント:周囲の歯に負担をかけず、天然歯に近い機能性と審美性を備えていますが、治療期間や費用、外科的リスクなどのデメリットもあります。

各治療法の詳しい違いやメリット・デメリット、選び方については「インプラントと入れ歯、ブリッジのそれぞれの違いは?メリットやデメリット、選ぶ時のポイントなど徹底解説!」をご覧ください。

インプラント治療で起こりうるトラブルとリスク

インプラント治療は高い成功率を誇りますが、まれに合併症トラブルが発生することがあります。事前にどのようなリスクがあるのか把握し、適切な対策を講じることが重要です。

インプラント周囲炎

インプラント周囲の歯肉や骨に発生する炎症で、歯周病と類似した疾患です。清掃不良メンテナンス不足が原因で発症し、進行すると骨吸収インプラントの脱落につながります。

インプラントの緩み・脱落

噛み合わせの不良骨吸収術後の感染が原因で、インプラント体や上部構造が緩む、または脱落するケースがあります。定期的な噛み合わせ調整が必要です。

人工歯(上部構造)の破損や脱離

セラミッククラウンジルコニアクラウンが、強い咬合力や事故により破損・脱離することがあります。この場合は再製作修理で対応します。

噛み合わせ不良による違和感や痛み

咬合バランスが崩れると、咀嚼時の痛み顎関節症のリスクが高まります。噛み合わせの微調整が必要です。

金属の露出や見た目の問題

長期間の使用や歯肉退縮により、インプラントの金属部分が露出することがあります。審美的な問題として改善策を検討する場合があります。

神経損傷によるしびれ

インプラント埋入時に下歯槽神経上顎洞に接触することで、一時的または持続的なしびれや感覚異常が起こることがあります。術前のCT診断とガイド手術でリスクを最小限に抑えます。

清掃不良による汚れの蓄積

セルフケア不足不適切な補綴設計が原因で汚れが蓄積し、インプラント周囲炎の発症リスクが高まります。適切なブラッシング方法とプロフェッショナルケアが不可欠です。

トラブルを回避するためのポイント

インプラント治療の成功と長期維持には、治療後の適切なケアと信頼できる歯科医院の選択が不可欠です。トラブルを未然に防ぐための重要なポイントを押さえておきましょう。

正しいセルフケアとメンテナンス

インプラントは虫歯になりませんが、インプラント周囲炎を予防するためには天然歯以上のプラークコントロールが求められます。
自宅での正しいブラッシングに加え、デンタルフロス歯間ブラシを使用し、インプラント周囲の清掃を徹底しましょう。
さらに、3〜6ヶ月に1回の定期検診プロフェッショナルクリーニング(PMTC)を受けることで、トラブルの早期発見と予防が可能になります。

※3 参考文献

多因子疾患であるが,炎症惹起の主因は細菌プラークとされ,露出したインプラント表面に口腔内細菌が感染し,インプラント周囲軟組織の炎症(発赤,腫脹,疼痛),インプラント周囲の骨欠損,周囲ポケットからの出血や排膿などを伴う感染性疾患である.発症ならびに進行との間には口腔衛生状況が密接に関連している.

日本口腔インプラント学会 第31巻 4号 訪問歯科診療におけるインプラントのトラブル対応

信頼できる歯科医院の選び方

歯科医院を選ぶ際は、インプラント治療の症例数治療実績を確認することが重要です。
また、CT診断やデジタルプランニング(サージカルガイド)を用いた精密な診査・診断が行われているかどうかもポイントです。
さらに、術後の保証制度アフターケア体制が整っている医院であれば、長期間にわたって安心して治療を継続できます。

インプラントは一生使える?寿命と将来的なケアについて

インプラントは高い耐久性を持つ治療法ですが、永久的なものではありません。寿命や将来的に必要となる費用について理解しておくことが重要です。

インプラントの平均寿命と耐久性

インプラント体そのものの生存率10年で約95〜98%と非常に高く、20年以上使用できるケースも多く報告されています。
しかし、これは正しいメンテナンス健康的な口腔環境が前提となります。喫煙糖尿病などのリスク因子がある場合、寿命が短くなる可能性があります。

※4 参考文献

上部構造装着後に 20 年以上経過した患者 1,168 人を 対象としてアンケート調査を行い回答が得られた 509 人から以下の結果を得た.

 1.インプラントの経過については「特に問題ない」 が 78%と最も多かった.

日本口腔インプラント学会 第19巻 4号 インプラント治療に対する患者の意識調査

長期的な費用シミュレーションの重要性

初期費用だけでなく、将来の交換費用やメンテナンス費用も含めたトータルコストを把握しておくことが大切です。
事前に歯科医師と長期計画を相談し、保証内容追加費用の条件を明確にしておくことで、予期せぬ出費を防ぐことができます。

インプラントのメリットとデメリットを正しく理解しよう

インプラントは、高い機能性と審美性を兼ね備えた優れた治療法ですが、費用・治療期間・外科的リスクなどのデメリットも存在します。
治療を検討する際には、自分にとってのメリットとデメリットを十分に理解し、信頼できる歯科医院とともに長期的な治療計画を立てることが大切です。
不安や疑問がある場合は、専門医に相談し、納得のいく治療を選択しましょう。

明敬会は患者様のご負担を最小限に抑えた治療を提供しています

当院のインプラント治療では、痛み・腫れ・出血を抑える「フラップレスインプラント」を専門としており、豊富な症例実績があります。患者様の負担軽減のため、リーズナブルな価格設定と多様な選択肢を提供しております。また、インプラントの長期使用には3〜4ヶ月ごとの定期メンテナンスが欠かせないため、インプラント周囲炎予防を含めた生涯サポートを行っています。

さらに、当院ではインフォームドコンセントを徹底し、治療内容と費用を丁寧に説明した上で治療を進めています。インフォームドコンセントが不十分な場合、「思っていた治療法じゃなかった」、「予想外の追加料金がかかった」などトラブルに繋がります。予期せぬトラブルを防ぎ、後悔のないインプラント治療を提供しています。

初診カウンセリングと、インプラント治療を受けられる方のCT撮影は無料ですので、お気軽にご相談ください。

参考文献
  1. 日本口腔インプラント学会 第19巻 4号 インプラント治療に対する患者の意識調査 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/19/4/19_478/_pdf
  2. 日本口腔インプラント学会 第27巻 2号 インプラント治療に対する意識調査 
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/27/2/27_175/_pdf
  3. 日本口腔インプラント学会 第31巻 4号 訪問歯科診療におけるインプラントのトラブル対応 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/31/4/31_259/_pdf
  4. 日本口腔インプラント学会 第19巻 4号 インプラント治療に対する患者の意識調査
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoi/19/4/19_478/_pdf
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