時より患者さまより「インプラントメーカーに違いがあるのか?」「インプラントメーカーごとにどんな違いがあるのか?」とご質問頂くことがございます。
インプラントメーカーの種類や特徴を詳しく理解した上で、インプラント治療を受けることは、インプラント治療を成功させるために重要な鍵となりますが、詳しく理解した上で治療を受ける人はどのくらいいるのでしょうか。そこで今回は、インプラントメーカーの違いや、特徴を詳しくご紹介して参ります。

日本にインプラントメーカーが上陸するまでの歴史


インプラントの歴史は意外にも長く、歯を失った代替に貝殻を埋め込んでいたマヤ文明時代のミイラなども発見されています。しかし、近年の治療で活用されているインプラントの性能を得るためには、ある1人の博士による様々な偶然が重なることにより、現在のような親和性にも機能性にも優れたインプラントが誕生しました。
1952年、スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士は、うさぎの骨にチタン製の器具を埋め込みとある実験を行っていました。その時、うさぎの骨とチタン製の器具が結合し、取り外すことができないことに気が付き、うさぎの骨とチタンが結合する事実を発見します。その後、人骨でもチタンと結合することを確認し、人体にも影響を及ぼさない物質であることが証明され、人骨とチタンが結合する特性を『オッセオインテグレーション』と名付け、それ以降様々な実験を行ない、臨床でも応用されるようになりました。

インプラントメーカーの種類と違い


インプラント治療が日本に上陸してから30年以上の年月が経過し、現在日本で流通しているインプラントメーカーは約30種類、世界においては100種類以上のインプラントメーカーが存在します。
メーカーごとに特徴や性能はもちろんのこと、規格も異なるために、例えばA医院のみで取り扱っているメーカーのインプラント治療をA医院で行なった後、転院先のB医院でメインテナンスを行なうことは困難であるため、インプラントメーカー選びは慎重に行わなければなりません。日本では、以下のインプラントメーカーが主に活用され『世界三大インプラント』と呼ばれています。

ブローネマルク・システム(ノーベルバイオケア社)
インプラントの代名詞である『オッセオインテグレーション』の発見者である、ブローネマルク博士から名付けられたインプラントです。世界各地でも広く普及されているインプラントメーカーであり、40年あまりもの歴史があります。
【特徴】
・インプラントのパーツや形態の異なる種類が多く、様々な症例に適応することができる
・ペイシェントカードが発行され、これまでのインプラント治療の内容を記録。アフターケアが充実している。

ストローマン・インプラント(ストローマン社)
ブローネマルク・システムに次いでシェア数を誇るインプラントメーカーです。一般的なインプラント治療では、1回目でインプラント体(人工歯根)を埋入し、2回目で埋入したインプラントの上部を露出させ、インプラント体と人工歯(上部構造)をアバットメントで連結させる、2回法で治療を行ないます。
一方ストローマン・インプラントでは、1回の手術でインプラントを埋入し歯槽骨と結合させ、人工歯と連結させることが可能であり、ストローマン・インプラント最大の特徴となります。
【特徴】
・1回でインプラント手術を終えることができる。(1回法)
・インプラント体に細かな凹凸があるため、歯槽骨との結合が通常より早い。
・日本人向けのインプラントである。

アストラインプラント(デンツプライ社)
上記2社のインプラントメーカーより比較的安価なインプラントであり、ブローネマルク・システム同様に、2回法で治療が行われます。インプラントの天敵である歯周病(周囲炎)に強く、骨吸収しにくいインプラントとして広く知られています。また、一番短いインプラントが6ミリであるため、通常のインプラントでは歯槽骨の高さが足りない場合にも適応できます。
【特徴】
・歯周病(周囲炎)に強く、骨吸収しにくい。
・比較的価格が安価である。
・6ミリと短いインプラントがあり、歯槽骨の高さがない場合にも適応する。

インプラントメーカー選びは慎重に


実際にインプラントメーカーを選択する際には、以下のことを重点におきましょう。

【他の歯科医院でもメインテナンスが可能であるか】
インプラントは、インプラント治療が完了しても定期的なメインテナンスが必要となります。末永くインプラントを維持するためには、引っ越しなどの理由から転院することなどを考慮し、他院でもメインテナンスなどが行えるインプラントメーカーであるか、確認することをおすすめ致します。

【実績のあるインプラントメーカーであるか】
世界には100種類以上のインプラントメーカーが存在し、日本でも約30種類のインプラントメーカーが存在します。歴史あるインプラントメーカーばかりではなく、新規参入したばかりのインプラントメーカーも存在していますが、新規参入したばかりのインプラントメーカーの場合、様々な症例のデータが得られていないケースや、全国的に普及していないことも不安要素としてあげられるため、実績のあるインプラントメーカーを選択することをおすすめ致します。

【1回法or2回法】
2回法、1回法どちらかのインプラントが最適であるのか選択しましょう。2回法の場合には2回手術をおこなうため、感染リスクや身体への負担がかかりますが、1回法にくらべると埋入後の土台の傾きなどを修正できるため、審美性に良いとされています。また1回法では1度の手術で終えられるため、感染リスクが低く身体への負担も抑えることが可能であり、比較的費用も抑えることが可能です。
このように1回法、2回法でメリット・デメリットがあるため、把握した上で選択することをおすすめいたします。

まとめ


以上、今回はインプラントメーカーに違いがあるのか、それぞれの特徴などについてご紹介して参りました。「インプラントメーカーはどれも同じではないのか?」と思われがちでありますが、それぞれ特徴があり、末永く付き合えるインプラントメーカーを選択する必要があります。インプラント治療をお考えの際には、インプラントメーカーの違いを考慮しながら選択しましょう。