インプラント治療した歯周辺の歯茎には、治療したことが原因となってしまい起こる症状
もあり得ます。その中には対処法を誤ると修復不可能になるケースがあるのも事実です。
そこで、考えられるトラブル例や原因を基に、適切な対処法や日常生活で気を付けたいこ
となどをご紹介します。

治療後、歯茎が腫れたらどうする?

インプラント治療は、歯茎の下にある顎の骨にインプラント体を土台として埋入する手術
をおこないます。歯茎の切開や顎の骨の切削作業をおこなうため、治療後傷口が治癒する
ための経過として一時的な「腫れ」を伴うことはよくあります。しかしこの腫れは約1週
間~10日程度かけて徐々に落ち着く腫れですので、ほとんどの場合はご心配いりません。

治癒に伴う腫れへの対処法

腫れや痛みのピークは術後2、3日です。手術した日に歯科医院から痛み止めや抗生物質
といったお薬が必要に応じて処方されます。用法・容量を守って飲むことで対処できる範
囲ですので、歯科医師の指示に従って飲むようにしてください。

痛みや腫れが長引く又はさらにひどくなる場合

手術に伴う腫れはいずれ終息しますが、1週間~10日が経過しても一向に腫れが治まらな
い場合やさらに酷くなる場合には、内部でインプラントが不具合を起こしている可能性も
あります。

埋入手術中に顎の骨が火傷を負った(オーバーヒート)

インプラント埋入のために顎の骨にドリルで穴を開ける際、ドリルで過剰に削ってしまっ
た場合や注水冷却が不十分だった場合などに、摩擦熱が生じて骨が火傷を負ってしまうこ
とがあります。気づかないままインプラント体を埋入してしまうと内部で炎症を起こし、
歯茎の腫れがなかなか治らないといった症状として現れます。

術前診断のミスがあった

インプラント埋入手術は肉眼で確認できない部分のため、術前に骨の高さや厚み、埋入部
の深さや角度などの診断を歯科用CTの画僧データなどを用いて入念におこなう必要があ
ります。もしもこの診断を誤った場合、インプラントを深く埋入してしまったり、埋入角
度を誤ったことで神経を損傷してしまうトラブルにつながってしまいます。気づかないま
ま手術を終えると治療後に内部で炎症が起こり、痛みや腫れの長期継続や悪化につながり
ます。

「骨造成」が不十分だった

歯周病等によって顎の骨が吸収されたことが原因で歯を失った方の場合、インプラントを
支えるだけの骨の高さと厚みに足りない場合があります。骨造成が十分にできていない状
態に気づかないまま埋入してしまうと骨や補填剤が定着せずインプラントがいつまでも安
定しません。インプラントが動揺したりすることで骨を突き抜けてしまうといったトラブ
ルから炎症を起こし、術後しばらくしてからでも痛んだり歯茎が腫れたりする症状につな
がることがあります。

歯性上顎洞炎を起こしている

上顎洞炎(じょうがくどうえん)とは、鼻の外側にある「上顎洞」という空洞が炎症をお
こしたものです。左右どちらかで起こり、目の下の部分が腫れたり痛んだりする症状が起
こります。鼻が近いことで鼻づまりを起こすこともあるため風邪や副鼻腔炎と勘違いする
こともありますが、実は上顎に埋入したインプラントが細菌で汚染されていた場合に炎症
を起こしているという場合があるのでご注意ください。治療として耳鼻科のケアが必要に
なることもあります。

痛みや腫れが一旦落ち着いたのに再発するケース

治癒に伴う痛みや腫れの期間が過ぎインプラントのある日常生活を送っていたら、あると
き痛みや腫れが始まるというトラブルのケースもあります。この場合はインプラント埋入
手術は問題なく終わっていたのに、しばらくしてトラブルを起こしたケースです。

インプラント周囲炎を起こしてしまった

インプラント埋入後に口腔内が不衛生になっていると、歯茎に歯垢が蓄積して歯茎が炎症
を起こして腫れます。通常歯肉炎と呼ばれる症状ですがインプラント周辺の歯茎も同様の
症状を起こし、細菌感染が悪化すると歯周ポケットが深くなってインプラント自体も感染
。埋入部の顎の骨を破壊してしまうことがあり、これを「インプラント周囲炎」といいま
す。

インプラントが露出して細菌感染を起こした

インプラント周囲炎を悪化させたり、過度な力で歯磨きをしている刺激等で歯茎が痩せ、
通常歯茎で覆われるべきインプラント体が露出してしまうことがあります。ここまで悪化
すると歯茎の回復が難しいケースが多く、インプラントを維持しておくことが難しい場合
もあります。

どうしたら術後の痛みや腫れのトラブルを予防できる?

治癒に伴う痛みや腫れは、ほとんどの場合投薬で対処できますが、他のトラブルに関してはどう予防すればよいのでしょうか。

施術のミスが原因の場合

これに関しては患者自身では予防することができません。施術のための診断や骨造成のミ
ス、施術中のミスによる痛みや腫れを予防するには「歯科医院選び」が重要です。最近で
はインプラントをおこなっている医院や安価な価格設定の医院も増えてきています。値段
だけで決めたりせず、医院や歯科医師の実績、経験数、取得資格なども参考にし、じっく
りカウンセリングを受けて納得のいく歯科医院を選ぶことが大切です。

術後しばらく経って起こるトラブル

インプラントが健康で長持ちするためには、日常的なケアと定期的な歯科医院によるメン
テナンスが必要不可欠です。これを怠れば口腔内は不衛生になり、痛みや腫れを伴うトラ
ブルにつながります。せっかく成功したインプラント治療を、自身の怠慢で使用継続不能
にしてしまうかもしれません。正しいブラッシング法で日々の歯磨きや、定期的にプロの
メンテナンスを受けることで痛みや腫れを予防したり初期症状で対処することができ、イ
ンプラント周囲炎やインプラントの露出・脱落などを予防することにつながります。

まとめ

インプラント治療後に起こる痛みや腫れは、大多数が起こっても仕方のない症状です。と
はいえあまりにも長く続く場合にはさまざまな原因が考えられ、その原因に合わせた対処
をできるだけ早くおこなわないとインプラントを失うことにもなりかねません。もしも気
になる症状がある場合には、できるだけ早めに主治医にご相談ください。