インプラント治療は虫歯や歯周病、不慮の事故により歯を失った場合に適応される治療法の1つです。インプラント治療を考える患者さまの中には、「自身の場合、インプラント治療が適応するのだろうか?」と、疑問や不安な思いを抱える人も少なくありません。そこで今回は、インプラント治療の代表的な症例をいくつかご紹介していきましょう。

【症例1】一番奥の奥歯を1本失った場合

【歯を失った原因】虫歯
【治療期間】4ヶ月
【患者データ】45歳・女性
【インプラント治療を選択した理由】
一番奥歯の歯を失った際の治療法として、ブリッジと入れ歯、インプラントの3種類の治療法があげられます。

ブリッジは手前2本の歯を土台にして、延長する形体のブリッジを装着することが可能です。しかし、この場合は土台となる2本の健康な歯を大きく削る必要があるため、あまりおすすめできません。

入れ歯は部分入れ歯が適応され、手前の歯にクラスプと呼ばれる金属のバネを引っ掛けます。健康保険も適応されるため、比較的安価に作製できますが、違和感が強く、咀嚼力も劣り、入れ歯の管理が必要となるため、見た目の悪さからも躊躇する人も少なくありません。

一方、インプラントでは奥歯1本を失った場合、歯を支える骨である歯槽骨に1本のインプラントを埋入することだけで、失った歯の機能を補うことができます。入れ歯より咀嚼力が高く、ブリッジのように健康な歯を削る必要もないため、この症例の場合のように1本のみ歯を失った際には、インプラントを選択する患者さまも多く見受けられます。

【症例2】前歯:1本の歯を失った(両隣の歯がある場合)

【歯を失った原因】不慮の事故
【治療期間】5ヶ月
【患者データ】24歳・男性
【インプラント治療を選択した理由】
不慮の事故によって前歯の歯根が折れてしまったため、抜歯を行ないました。失った歯の機能を補うために選択できる治療法は、ブリッジと入れ歯、インプラントの3種類です。

しかし、前歯の場合は審美性に欠ける治療は避けたいため、1本のみ前歯を失った場合には、インプラントが最適と考えられます。

短期間の治療を希望する場合や、費用の面で入れ歯やブリッジを選択する患者さまも見受けられます。ブリッジを選択した場合には、両隣の歯を大きく削る必要があり、そのように削られた歯は寿命が短いとされているため、あまりおすすめできない治療法となります。

入れ歯もまた、比較的短期間かつ安価で治療できるため、患者さまの負担は少なく済みますが、審美性に劣る点があります。

【症例3】犬歯:色が1本だけ違う

【歯を失った原因】神経壊死
【治療期間】5ヶ月
【患者データ】50歳・女性
【インプラント治療を選択した理由】
犬歯の1本だけが他の歯の色と異なり『黄ばんでいる』と、歯の色を元の状態にしたいと希望する患者さまが来院。検査の結果、犬歯は歯根破損しており神経が壊死していました。根管治療も選択肢の1つでありましたが、患者さまご本人のご希望もあり、インプラント治療を選択し、インプラントを1本埋入しました。

【症例4】前歯:歯肉とブリッジの間に隙間ができた

【歯を失った原因】歯周病・加齢による歯槽骨の吸収
【治療期間】6ヶ月
【患者データ】60歳・女性
【インプラント治療を選択した理由】
以前治療した前歯のブリッジと歯肉の間にできた隙間が気になり、来院されました。歯周病や加齢に伴い歯槽骨が痩せていくことで、徐々にブリッジと歯肉の間に隙間ができてしまいます。「歯が伸びた」と感じる場合は、歯槽骨が痩せてしまっているサインかもしれません。

こちらの症例の場合は、残存する歯根の状態も思わしくなかったため、土台となっていた歯の抜歯を行ない、歯周病の治療を行なった後、2本のインプラントを埋入し、セラミックブリッジを装着しました。

【症例5】臼歯:歯槽骨の厚さが足りない場合

【歯を失った原因】歯周病による歯槽骨の吸収
【治療期間】11ヶ月
【患者データ】女性・32歳
【インプラント治療を選択した理由】
他の歯科医院で臼歯を抜歯。その後、インプラント治療を希望したものの、いざ検査してみると歯槽骨の厚さが足りないと、入れ歯を進められた。まだ、30代であったため、入れ歯には抵抗があり、骨造成法を希望されて来院。

検査の結果、歯槽骨の厚さが足りないと診断され、骨造成法であるサイナスリフト法を行なった上で、インプラント治療を行なうことが可能となりました。

一昔前まで、インプラント手術が困難であると診断される歯槽骨の状態であっても、このように骨造成法を行なうことで、インプラント治療を受けられるようになる場合もあります。

【症例6】全顎:入れ歯が合わない

【歯を失った原因】入れ歯が合わない
【治療期間】10ヶ月
【患者データ】58歳・男性
【インプラント治療を選択した理由】
上顎総入れ歯が長年合わないと悩んでおられました。修正や修理、入れ歯の管理がだんだん負担となっていたため、インプラントを6本埋入し、半固定式の総入れ歯を装着しました。長年の悩みであった入れ歯が合わないトラブルや入れ歯の管理を回避することができました。

【症例7】抜歯後、長年放置

【歯を失った原因】虫歯治療を放置
【治療期間】1年
【患者データ】43歳・男性
【インプラント治療を選択した理由】
虫歯治療を放置したため、奥歯2本の抜歯を余儀なくされました。歯槽骨も痩せており、歯槽骨の幅を確保するために、骨造成法であるGBR(骨再生誘導法)を行なった後、2本のインプラントを埋入しました。

このように虫歯治療を放置してしまうと、本来なら残せるはずだった歯を抜歯せざる負えなくなり、歯を失うケースも多く見受けられます。

まとめ

以上、今回は代表的なインプラント埋入症例について、詳しくご紹介して参りました。インプラントは誰でも簡単に受けられる治療ではありませんが、インプラント治療を行なう前には、十分なカウンセリングと検査を行ない、インプラント手術に適応できるのか診断致します。インプラント治療をお考えの際には、お気軽にご相談ください。