お口の中全体の歯を4〜6本のインプラント(人工歯根)で支えるオールオン4・オールオン6治療についてご紹介します。
オールオン4・オールオン6の特徴
オールオン4は、4カ所に埋め込んだインプラント(人工歯根)で、上あごまたは下あごの義歯を支える、すべての歯を失ってしまった方におすすめの治療法です。 6本のインプラントを使用する場合はオールオン6です。
メリット・デメリット
オールオン4・オールオン6は、患者様にかかる負担を軽減できるメリットの多い治療法ですが、当然デメリットもあります。当院は、メリットだけでなくデメリットもご理解いただきご納得いただいて治療を進めてまいります。
メリット
治療の負担を軽減できる
オールオン4・オールオン6は、1本1本インプラントを埋入するわけではないため、治療における患者様の負担が少なくなります。
全ての歯をインプラントにする場合、数本が連結したブリッジタイプのインプラントを使用しても、8~12本のインプラントを埋め込む必要がありますが、オールオン4では4本(オールオン6なら6本)のインプラントで治療できます。
費用を抑えることができる
全ての歯に対して4本(オールオン6の場合は6本)のインプラントで済むため、単純計算で費用が安くなります。大変リーズナブルな治療です。
通院回数・治療期間を減らせる
全ての歯を別々インプラントで治療する場合は、数回に分けて手術をする必要がありますが、オールオン4・オールオン6なら1回の手術で仮歯まで装着が可能です。歯がない状態で生活する必要も、食事で不便を感じることもありません。 また、殆どの場合、手術当日に仮歯を装着できます。歯がない、あるいは入れ歯で数カ月を過ごす必要がなく、当日から食事ができるようになります。(固いものは避けていただきます)
元の歯と同じように噛める
総入れ歯では、元の歯の半分以下の力でしか噛むことができませんが、オールオン4・オールオン6なら、ほとんど変わらない力で噛むことができます。 オールオン4(オールオン6)の上部構造(人工歯)は、入れ歯のように一体になっていますが、入れ歯のようにあご全体を覆ってしまう構造ではありません。 そのため、食事のときにも食べ物の感触や温度がよくわかり、美味しく味わうことができますし、硬い食べものでも本来の歯とほぼ同じくらいに噛み砕くことができます。
歯ぐきが下がりにくい
総入れ歯は歯槽骨(歯を支えるあごの骨)が徐々に減っていき歯ぐきがやせたようになってしまいますが、インプラントならその心配はほとんどありません。ただし、インプラントは歯周病のような病気(インプラント周囲炎)になるため、メンテナンスは欠かせません。
デメリット
適用できない場合がある
少ない本数のインプラントで10〜12本の連結ブリッジを支えるため、歯槽骨(歯を支えるあごの骨)が柔らかい・骨密度が低い方は手術ができない場合があります。詳しくは担当の歯科医師までご相談ください。
高度な医療設備が必要
精密な治療計画がとても重要となるため、CT(平面のレントゲン写真とは異なり、コンピューター上であごの骨や血管、神経などを立体的に再現する装置)による診断と事前のシミュレーションは必須です。どの歯科医院でも行えるものではありません。
歯科医師の技術や経験が必要
通常のインプラント治療とは異なり、より精密な治療となるため、成功のカギは歯科医師の技術や経験に左右されます。多くの症例実績があることが好ましいと言えます。
治療の流れ
通常のインプラント治療と同様に、インプラント(人工歯根)を埋め込みます。
オールオン4(または6)では、1本のインプラントに対して複数の歯を支えることになるため、インプラントは治療計画で計算された角度を付けて埋入することになります。
埋入の正確性が求められるため、通常サージカルガイド(事前のシミュレーションを正確に反映するために作成されたテンプレート)を使用します。
インプラントにアバットメント(人工歯の土台)を取り付けます。
出血が治まったら仮歯を装着します。
インプラントにあまり負荷がかからない食事であれば手術当日から食べていただいて問題ありません。
インプラントが歯槽骨に結合する期間(4〜6か月程度)をおいて、かみ合わせを再チェックした後に最終の人工歯を作成したら治療が完了です。
総入れ歯との違い
総入れ歯 | オールオン4/6 | |
噛む力 | 天然歯の50%以下 | 天然歯と変わらない |
違和感 | 大きい(自由診療の入ればで若干軽減できる) | ほとんどない |
脱落 | 合っていないと外れる | ほとんど外れることはない |
骨がやせる | 徐々にやせていく | やせにくい |
外科手術 | 必要ない | 必要 |
費用 | 保険適用の治療が選べる | 自由診療のため高額 |
オールオン4・オールオン6で費用が抑えられる3つの理由
①インプラントの本数が半分以下になる
インプラントとは、失った歯を補うための人工歯根ですので、普通に考えると入れる歯の本数分のインプラント(人工歯根)が必要ということになります。お口の中全体なら24本のインプラントが必要になる計算です。
しかしオールオン4なら、上あごあるいは下あごの歯一列を連結したブリッジや入れ歯のようなタイプの人工歯を、4本のインプラントで固定できます。インプラントを埋め込む角度に特徴があり、少ないインプラントでも負担を分散してそれ以上の本数の人工歯を支えることができます。<br/>
インプラントの本数が少ないということは、当然材料費がかからなくなり治療費が安くなります。
②GBR・骨移植が必要ない
歯槽骨(歯を支えるあごの骨)の厚さや高さが不足しているなど、骨量が足りない場合には、GBR(骨誘導再生)や骨移植などの骨を補う治療を併用する必要があります。
しかし、オールオン4はあごの骨全体で治療計画を立てるため、状態の良い部分を使うなど、骨を補う必要がなく治療できる場合があります。
追加の治療が必要なくなれば、治療費も安くなります。
③治療回数が少ない
前述の追加の治療がなくなることに加えて、オールオン4では埋入する本数が少ないことから、お口全体を1回の手術で完了することができます。また、当日に仮歯の装着ができるため、食事での不都合がなく審美面でもストレスなく過ごすことができます。治療する範囲が少ないため、術後の痛みや腫れも少なく、回復も早くなります。
費用
Cost
オールオン4(オールオン6)の費用は、インプラント(インプラント体+アバットメント)の本数と仮歯、最終的な上部構造(人工歯)の合計で治療費が決まります。
タイプ | インプラント | 仮歯 | 上部構造(人工歯) | 合計(税込) |
義歯type (4本) | 27.5万×4本=110万 | 11万 | 硬化レジン歯+ アクリルレジン 88万 | 209万 |
義歯type (6本) | 27.5万×6本=165万 | 11万 | 硬化レジン歯+ アクリルレジン 88万 | 264万 |
Bridge type (4本) | 27.5万×4本=110万 | 11万 | ハイブリッドセラミック+チタンフレーム121万 | 242万 |
Bridge type (6本) | 27.5万×6本=165万 | 11万 | ハイブリッドセラミック+チタンフレーム121万 | 297万 |
プロビショナルインプラント(仮歯固定用インプラント)
4本(または6本)のインプラントが全て安定している状態でない場合は、インプラントが骨にしっかりと結合するための期間を置く必要があるため、すぐに埋め込んだインプラントに仮歯を装着できないことがあります。
このような場合は、プロビジョナルインプラント(仮歯固定用の小さいインプラント)を暫定的に埋め込んで仮歯を固定する治療法が選択できます。プロビジョナルインプラントは通常のインプラントより細く骨と結合することがないため、最終的に人工歯を装着する際に撤去します。
プロビジョナル(仮歯固定用)インプラント費用
プロビジョナルインプラント | 3.3万円/1本 |
仮歯 | 1.1万円/1本 |
※治療費には消費税が含まれています