フルマウスインプラントとは
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すべての歯を失った場合に適用できるインプラント治療です。従来の方法では、歯を失ったすべての歯茎にインプラントを埋め込むことになりますが、患者様への負担が大きいため、安易に受けられるものではありません。1本あたり数十万円がかかるため、金銭的な負担の意味でも受けられる方が限られてしまいます。
そこでおすすめなのがフルマウスインプラントです。
フルマウスインプラントは、数ヶ所にのみインプラントを埋め込み、すべての歯を支える治療法です。数ヶ所に埋め込んだインプラントにブリッジや入れ歯を固定します。ここで疑問に感じられるのは、なぜ総入れ歯ではなくフルマウスインプラントの方がいいのかということでしょう。
入れ歯は、インプラントと比べてしっかり噛むことが難しいため、食生活に支障をきたすケースがあります。インプラントであれば、しっかり噛めるため、食事を十分に楽しむことができます。食事を楽しめなくなると、食が細くなることで栄養不足に陥り、様々な病気へと繋がる可能性もあるため、しっかり噛める口腔環境をつくることは非常に大切なことなのです。
フルマウスインプラントには、いくつかの種類があり、当院では次の3つを使用しております。
ALL ON4 /ALL ON 6
ALL ON 4は、4ヶ所にインプラントを埋め込み、上下どちらかのすべての義歯を支える方法です。上あごと下あごのいずれかの歯をすべて失った場合におすすめです。ALL ON 6は、インプラントを6ヶ所に埋め込みます。
いずれの方法も、入れ歯とは違って床部分がありません。入れ歯は、床部分があごを覆うため、食感や食べ物の温感を得られにくく、食事を楽しめない場合があります。また、噛む力も天然の歯と比べて弱くなります。ALL ON4 /ALL ON 6であれば、天然の歯とほぼ同じ力で噛めるうえに、あごを覆わないため触感や温感がしっかり伝わります。
また、インプラントを入れたその日に仮歯を入れるため、軟らかいものに限りますが、その日から噛めるようになります。
ロケーターインプラント
複数のインプラントを埋め込み、入れ歯を固定します。入れ歯を取り外せるため、口の中を清潔に保ちやすいことがメリットです。また、すでに入れ歯をお持ちの場合は、新しく入れ歯を作る必要がありません。
それだけ費用を抑えられるため、金銭的な負担も少なくて済みます。主に下あごに適用できる方法で、インプラントを2本埋め込みます。上あごの場合は、4本以上のインプラントが必要になるため、ALL ON4 /ALL ON 6の方がおすすめです。
Oリングインプラント
Oリング(オーリング)インプラントは、インプラントに繋げるアバットメントの突起に入れ歯を結合させる方法です。入れ歯にドーナツ状のゴムを取りつけることでアバットメントと連結させるため、Oリングインプラントと呼ばれています。
耐久性に優れているため、長く使うことが可能です。ただし、取りつけたゴムはどうしても劣化するため、定期交換が必要となります。さらに、インプラントが横方向へと強く揺れるようになるため、上あごよりも下あごの方が向いています。
Oリングインプラントは、これまで入れ歯を使用していたが食事や会話などに支障をきたしている方におすすめです。
歯をすべて失った場合には、総入れ歯を選びがちですが、フルマウスインプラントという選択肢もあることを知っておいていただければと思います。総入れ歯は手入れや不具合などによるメンテナンスなど、何かと手がかかるものです。インプラントにも同じことが言えますが、食事や会話などへの影響についてはインプラントに軍配が上がります。